- 2025/03/24
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旋盤の使い方は?特徴や種類、基本構造を元に徹底解説

旋盤は、円筒形の部品を加工する際に欠かせない工作機械です。
その特徴や役割を理解することで、旋盤を効果的に活用できるようになります。
本記事では、旋盤の基本的な概要から、さまざまな種類や構造、加工に使用されるバイトの種類、具体的な加工方法、そして安全に使用するための注意点までを詳しく解説します。
目次 [hide]
旋盤とは?

ここでは、旋盤の定義、特徴、使用される業界や用途について解説していきます。
旋盤について基礎知識から身に付けたい方は、ぜひ参考にしてください。
旋盤の概要
旋盤は、材料を回転させて刃物を当て、特定の形状に加工する機械です。
主に円筒形の部品を効率よく製作できるため、多くの製造業で活用されています。
旋盤の基本的な構成要素は以下の通りです。
- 主軸
- チャック
- 刃物台
これらの構成により、精密な加工が可能になります。
また、旋盤は金属加工業界で特に重要な役割を担っており、自動車部品や航空機部品の製造など、幅広い分野で利用されています。
加えて、その精度と効率が求められる医療機器や電子機器の製造においても活用されています。
旋盤とフライス盤の違い
旋盤とフライス盤は、どちらも工作機械ですが、その用途や構造に違いがあります。
旋盤では材料を回転させて加工を行いますが、フライス盤では刃物が回転します。
これにより、加工の方向性や形状に違いが生じます。
種類 | 主な用途 |
旋盤 | ・円筒形の部品加工 ・外径や内径の削り |
フライス盤 | ・平面加工 ・溝や穴あけ作業 |
このような性質の違いから、旋盤は円筒状や円錐状の加工に適しているのに対して、フライス盤は直線的な切削や多面加工などに向いています。
旋盤とマシニングセンタの違い
旋盤とマシニングセンタは、どちらも金属加工に重要な機械ですが、加工方法や機能に違いがあります。
旋盤は回転する材料に刃物を当てて加工しますが、マシニングセンタは固定された材料に多軸で刃物を動かして加工します。
種類 | 特徴 |
旋盤 | ・円筒形部品の加工に優れている ・外径や内径の削りに適している |
マシニングセンタ | ・複雑な形状の加工が可能 ・多軸制御で多様な加工ができる |
また、マシニングセンタは、複数の加工方法を1台でまかなうことができ、加工内容をプログラミングすれば、自動で行ってくれるのも特徴です。
旋盤の種類

旋盤には、主に以下の種類があります。
- 汎用旋盤
- NC旋盤
- 卓上旋盤
- 立旋盤
- 正面旋盤
- タレット旋盤
- 複合加工旋盤
旋盤は形状や構造によって特徴や使い方などが異なります。
素材に適した加工を行うためにも、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
汎用旋盤
汎用旋盤は、最も一般的な旋盤で、多様な加工に対応可能です。
特に以下のような特徴があります。
- 手動で操作するため、熟練度が重要
- 多様な材質に対して加工が可能
- 設備投資が少ない
そのため、個人や小規模な工場で広く利用されています。
また、汎用旋盤の最大の利点は、操作の柔軟性と汎用性です。
自動化されたシステムよりも手作業が多いため、オペレーターの経験とスキルが求められます。
NC旋盤
NC旋盤は、数値制御により自動化された旋盤で、高精度な加工が可能で、以下の利点があります。
- プログラムによる操作で人為的ミスを削減
- 複雑な形状の加工が容易
- 大量生産に適している
このように、より高精度かつ高速な加工が行えることから、CNC旋盤は近年の主流となっています。
卓上旋盤
卓上旋盤は、小型で持ち運びが容易な旋盤です。
特徴は以下の通りです。
- 小型であるため、狭いスペースでも使用可能
- 初心者にも扱いやすい
- 小物や模型の加工に最適
その特性から加工物とチャックの接触面積が広くなり、小さな力で把握できるため、薄肉の製品でも変形することなく加工ができます。
立旋盤
立旋盤は、垂直に設置された工作物を加工する旋盤で、以下の特徴があります。
- 大型の工作物に対応可能
- 作業者が加工物を直接確認しやすい
- 均一な加工が可能
立旋盤では上を向いた主軸に加工物を取り付けます。
そのため、重たいものでも芯のズレが起こらず、その他の旋盤よりも大型の製品でも加工も可能です。
正面旋盤
正面旋盤は、主に円盤状の材料を加工する旋盤で、以下のような特徴があります。
- 円盤状の大きな部品に最適
- 作業者が正面から加工を確認できる
- 安定した加工が可能
なお、正面旋盤は立旋盤に比べて製品に傷がつきにくく、連続加工が行いやすい点がメリットです。
ただし、大型製品の加工には向いていないため、製品によっては
タレット旋盤
タレット旋盤は、多数の工具を持ち替えて使用できる旋盤です。
特徴は以下の通りです。
- 工具交換が迅速で効率的
- 大量生産に適している
- 作業時間の短縮が可能
旋盤加工の場合、必要に応じて工具を着脱する必要がありますが、タレット旋盤なら工具交換の手間が減り加工時間を短縮できるため、大量生産に向いています。
複合加工旋盤
複合加工旋盤は、旋削とフライス加工を同時に行える旋盤で、以下の利点があります。
- 複雑な形状の一体加工が可能
- 工程数を削減し、時間短縮
- 高い加工精度を実現
また、複合加工旋盤は、加工物や工具の固定にかかる工数を減らして加工時間を短縮できるため、なおかつ加工精度の低下を防げるのが最大の特徴です。
旋盤の基本構造

旋盤は、主に以下の部品から構成されています。
- 主軸台
- ベッド
- 心押し台
- 往復台
- 送り装置
- チャック
それぞれの特徴を解説します。
主軸台
主軸台は旋盤の中心的な役割を果たす部品です。
工作物を回転させるための心臓部とも言える部品で、主軸内にベアリングが組み込まれ、安定した回転を実現します。
主軸速度を調整することで切削速度を最適化できます。
ベッド
旋盤のベッドは、機械全体の安定性と精度を支える重要な構造部分です。
ベッドは旋盤の基盤であり、他の部品を支える役割を担い、重量感があり、振動を抑える効果があります。
また、ベッドには精密な加工を可能にするため、平面性が求められます。
心押し台
心押し台は、旋盤における支持機構としての役割を果たします。
工作物をしっかりと固定するために使用する調整可能な構造で、多様な形状の工作物に対応します。
ドリル加工や穴あけ作業においても、たわみを防ぐ重要な役割を果たします。
往復台
往復台は、刃物を工作物に対して前後させるための台です。
自動送り機能が備わり、旋盤の操作性を向上させることで、作業効率を高めることができます。
なお、往復台の上には、切削工具を取り付ける刃物台が備えられています。
送り装置
送り装置は、切削工具を縦横に動かす装置です。
物を工作物に対して一定の速度で移動させ、加工の種類に応じた調整が可能です。
往復台よりも動く範囲は狭いですが、0.01mm以下の範囲で移動させられる精密性が特徴と言えます。
チャック
チャックは、工作物を固定するための装置です。
三爪チャックや四爪チャックなど、形状に応じた種類があります。
また、取り外しや交換が容易で、作業の準備時間を短縮できます。
旋盤で使用されるバイトの種類

旋盤で使用されるバイト(旋削加工で使用する切削工具)には、以下の種類があります。
- スローアウェイバイト
- ムクバイト
- 付刃バイト
それぞれ解説します。
スローアウェイバイト
スローアウェイバイトは、効率的な切削作業を実現するためのバイトで、以下の特徴があります。
- 刃先が摩耗したら交換するだけで、再研磨が不要
- 高精度な加工が可能
- 切削条件に応じた多様な形状がある
刃先の切れ味が悪くなっても研磨の必要がなく、チップを交換するだけで使用を続けられます。
そのため、コストパフォーマンスに優れることから、現在は主流となっているバイトです。
ムクバイト
ムクバイトは、耐久性が高く、広範な加工に対応するバイトです。
以下の特徴が挙げられます。
- 再研磨が可能で長期間使用できる
- 高い靭性があり、過酷な切削条件に耐える
スローアウェイバイトとは異なり、刃先が摩耗した際には研磨が必要ですが、刃先を自由に成形可能できるなどのメリットがあります。
付刃バイト
付刃バイトは、刃先をシャンクにロウ付けしたバイトで、以下の特徴があります。
- 刃先の交換が可能で経済的
- 高度な切削性能を発揮
- 複雑な形状の加工に適している
ムクバイトと同じく、使用する際は刃先の成形が必要です。
旋盤使用時の安全対策

最後に、旋盤使用時の安全対策について解説します。
- 保護具の着用
- 作業エリアの整理
- 機械の定期点検
上記のポイントを抑えることで、安全に旋盤を使用できます。
保護具の着用
旋盤作業では、適切な保護具を着用することが安全の第一歩です。
以下の保護具を用いることで、身体を守ることができます。
- 安全メガネ
- 防塵マスク
- 安全靴
また、工具や機械に巻き込まれないよう、作業中は正しい姿勢を意識しましょう。
作業エリアの整理
旋盤作業において、作業エリアの整理整頓は事故防止に欠かせません。
以下のポイントを押さえておきましょう。
- 工具や材料は定位置に収納する
- 床面は常に清潔に保つ
- 余計な物品を作業スペースに置かない
作業エリアが整理されていることで、巻き込みなどのリスクを抑えられます。
機械の定期点検
旋盤の安全な運用には、機械の定期点検が不可欠です。
- 主軸や刃物台の動作確認
- 油圧や潤滑油の状態チェック
- 電源ケーブルやスイッチの点検
上記の点を定期的に確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
また、企業によって点検項目が定められているため、漏れなくチェックしましょう。
まとめ
本記事では、旋盤の基礎知識から種類、構造、注意点まで解説しました。
この記事を通じて得た知識を現場での実践に役立て、より安全で効率的な作業を心掛けましょう。
旋盤の特性を活かし、様々な加工方法をマスターすることで、プロフェッショナルなスキルを身につけることが可能です。
これからの旋盤作業がより充実したものとなるよう、学んだ内容を積極的に活用してください。
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